ベア

tetsu02112006-01-28

今年の春闘トヨタ自動車労組が1千円のベアを要求するらしい。
恥ずかしながら私が「ベア」の意味を知ったのはそれほど昔のことではない。世の中には知らない人も多いのではないかと思う。
きっと中小企業の社長なんか、「あのトヨタだってベアゼロなんだぞ。給料あがってないんだぞ。うちみたいな小さな会社が給料を現状維持なんて贅沢だと思えよ」なんてこの3年間言い続けていたりして、そして、それを鵜呑みにした従業員が全国にゴマンといたりしないか心配です。
「ベアゼロ」と「現状維持(昇給なし)」は全く違います。トヨタの給与体系がどのようなものなのか知りませんが、おそらく「定期昇給」というものがあります(最近は能力主義賃金体系も増えましたが、いわゆる年功序列型賃金体系も多くの企業に存在します)。だから、「ベアゼロ」であっても毎年昇給していて、つまりは「給料あがってない」ということではないのです。「ベアゼロ」でも毎年給料は上がっているのです。
話がむつかしくなりそうなので具体例でいうと、ある会社の高卒新入社員の基本給が12万円、2年目社員が12万2千円、3年目社員が12万5千円(4年目以降も1年ごとに少しずつ賃金が増えていく)と決まっていたとすれば、この会社は毎年2〜3千円ずつ給料が増えていくことになり、これが「定期昇給」です。じゃあ、ベアが何かっていうと、例えばこの賃金体系を高卒新入社員を12万1千円、2年目を12万3千円、3年目を12万6千円に変更することです。つまり、定期昇給プラスそれぞれ1千円の「ベースアップ(ベア)」をするということです。
エラそうなこと書きましたが、ほとんどの人には常識なんだと思います。


それにしても驚いたのは、トヨタ労組の賃上げ要求の中にあった「組合員平均で年間一時金(ボーナス)は237万円」の部分です。時給700円のパート労働者が週40時間労働で1年間働いても146万円ですから…。
労働者の能力や実績というものに対する評価(つまり賃金)とは会社内における相対評価でしかありません。同じ能力と実績を持つ者が同じ会社に二人いれば、二人の賃金は同じでしょう(実際はいろんな要因があるので同じになるとは限りませんが)。二人が別の会社の人間だった場合でも、絶対評価という基準があれば二人の賃金は同じになります。でも、現実は、一方が業績良好な大企業で片方は赤字続きの中小企業だったりすれば、二人の賃金は何倍も差がつくわけです。「いい」とか「悪い」とかいう問題でもないのですが、それが資本主義というものなのでしょう。
同じ成績を上げたプロ野球選手でも、所属球団が違えば年俸に差がつくのと同じです。


裸のランチ [DVD]

裸のランチ [DVD]

★★☆☆☆ う〜ん。…。