指紋

tetsu02112006-03-19

「外国人の指紋一生保存 入管法改正法務省方針」(19日朝日新聞
記事を読んで思い出した。子どもの頃、たぶん在日朝鮮・韓国人の指紋押捺問題の記事を読んだときに思ったことがある。全国民の指紋を登録しておけば犯罪が起きたときに犯人検挙にずいぶん役立つだろうなあ、と思ったのである。もちろん、在日朝鮮・韓国人だけを登録するのは人権上問題があると思っている。やるなら、全国民を対象にしてやればいいと、子ども心に思っていた。
日弁連は「外国人の生体情報を長期間保有し続けることはプライバシー保護の点で問題がある」と主張しているけど、それを全国民に適用したとなればどうなるだろう。国民はすでに住所・氏名・生年月日・家系・年収・不動産所有などについて戸籍やら住民票やら課税台帳やらで把握されている。それらに「指紋」が加わったとしてどんな不都合があるというのだろう。


指紋を保存されることで、どんなプライバシーの侵害を受けるのだろうと考えてみた。思いついたのは二つ。一つは疑われるということ自体が気持ち悪いということ、もう一つは「知られたくない場所にいたことが他人に知られる」ということ。
罪を犯してもいないのに「いつか起こすかもしれない犯罪のために、(指紋を)強制的に取得」(石村耕治・白鴎大学医学教授)されることは、気分の悪いことである。だから、反対したくなるのだけど、それは気分だけの問題のような気もする。嫌な気分というデメリットは、犯罪の検挙率が上がるというメリットを考えたときに、容認できないほどに大きいのだろうか。検挙率が上がるということは、自分が犯罪に巻き込まれていないときは何のメリットもないように思うけれど、それでも治安の向上という意味において十分メリットを得ていると思う。
もう一つの「知られたくない場所にいたことが他人に知られる」ということについて。例えば、ある犯罪がいかがわしい場所において発生したときに、全国民の指紋が国(あるいは警察)に登録されていたとしたら、犯罪が起きた場所に残された指紋によってそこにいた人間が誰であるか知れてしまうということである。風俗店で犯罪が起きた時に、残った指紋でお客が誰だったか知られるとすれば、当人は知られたくないであろう情報を国に掴まれてしまう。指紋が残ってたら取り合えず事情聴取されたりして、その場所にいたことが家族や職場に知られてしまうかもしれない。そうなれば、バツの悪いことこの上なしである。
なにもいかがわしい場所に限らない。仕事をサボって遊んでいた事実がバレたりとかいろいろ不都合なことはあるでしょう。だから、「プライバシー保護の点で問題がある」という大上段な言い分で反対するのかもしれないけれど、犯人を見つけやすくなるというメリットは捨てがたい。
「プライバシー」という総論的な言い方でなく、どんなメリット・デメリットがあるのか具体的な議論があっていいのじゃないかと思うのでした。
ちなみに私はといえば、「気持ち悪さ」を払拭しきれないでいます。



ペンタブレットを買ったけど、でき上がった絵に違いはなさそうです。