村上隆

ZEROに村上隆が出演していた。僕はこの人に対してミョーな興味がある。お土産用に村上隆デザインのバッジを買ったこともある。だからといって村上隆の作品が好きかというとそうではない。番組には6800万円也の等身大フィギュアが登場したが、最初に見たとき(実物は見たことがない。雑誌の写真で見ただけ)、「オッ!おもしれぇじゃん」と思った。でも、これに6800万円も出す気にはなれない。無論そんな大金持ってはいないが、仮に僕が資産総額100億円の大富豪だったとしてもこれを買うことはないと思う。今、僕の目の前にこの作品と現金6800万円が並べられ、「どっちか好きな方を取っていいぞ」と言われたら、迷うことなく現金に手を伸ばす。どう考えてもこの作品に6800万もの価値があるようには思えない、というか6800万円もらう喜び以上のものをこのフィギュアは僕に与えてはくれないと思う。たとえばこのフィギュアの展示会があったとしたら、入場料が1000円までだったら行ってみたい。僕にとってはその程度の価値しかない。…だがまてよ、1000円で見たいと思う人が10万人いたとすれば合計で1億円になる。十分元はとれる。そうか!芸術の価値というのは一人の人間にとっての価値ではなく、その作品を見たいと思う人間にとっての価値の総体だと考えれば合点がいくじゃないか。


もしもこのフィギュアが12万5千円で落札されていたとしたら、僕は入場料千円を払って見にいくだろうか?きっと、行かないと思う。「これが6800万円?!」という驚きがあるからこそ興味が湧くのである。つまり僕は純粋にゲージュツを理解することができない俗な男なのである。…でもね、今日のテレビでチラッと見えた村上作品、どれもショボく見えましたよ、僕には。だからこそ、そんなのが高く売り買いされていることに興味があるんです。