安部英死去。

薬害エイズ事件の被告。こういう事件の被告は身を守るというより心を守るために無罪を主張するのかもしれない。自分の責任でエイズを発症させたことになれば、懲役をくらうことより、自分のせいで人が死んだことへの後悔や罪悪感によって自分の心が壊れてしまうことの方が怖ろしいのではないだろうか。責任をとること自体を拒否するのではなく、責任の重さに心が耐えられないからこそ、無罪を証明してほしいと願うのだろう。
そうだとすれば、自分に罪がないことを自ら信じ込もうとするに違いない。自分に罪があることを知りながら無罪判決をもらっても救われた気分にはならないから。