『欲望という名の電車』

面白くなかった。
ビビアン・リーの映画って『風とともに去りぬ』を観たときも面白いと思わなかった。
ところが、昔、映画の話をしているとき『風とともに去りぬ』が面白いって言うひとがいて、「え!ほんと?」って思ったことがある。そのころの僕は、自分が面白いと思うものは他人も面白いと感じるはずと考え、もし、面白くないのならそれはその人が「わからない人」なんだと、ある意味見下していたように思う。そして、僕が面白いと感じないものを面白がる人がいると、その人はなんか勘違いしてんじゃないのと疑っていたように思う。
そういうことが何度も続いて、やっと、面白いものは人によって違うということが分かってきた。でも、それをあまり認めたくない気持ちも実はあって、だって、それを認めるということは、ゲージュツ(ばかりでもないけど)の価値は絶対的なものではないと認めるということになりはしないか。「イイ」と思う人が多い作品が「イイ」んだということになって、ゲージュツの評価が多数決で決まるような気がして納得できなかった。ま、そういうことじゃないってのは分かってるつもりだけどさ。

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