今日も「象の消滅」

『窓』
「僕はあの時彼女と寝るべきだったんだろうか?
 これがこの文章のテーマだ。」
って?
そりゃたしかに、そういう(彼女と寝るという)展開になるのかな、と思いながら読んではいたけど、それが「テーマ」なんですか、村上さん?
もっとも、作者が「これがテーマだ」なんて言ってることを信じちゃいけないのかもしれないけど。


『沈黙』
面白かったです。
村上の小説は、だいたい不思議な出来事とか謎が提示されてそれを辿っていく話(ジャンルとしてはファンタジーと言っても間違いじゃないと思うけど、誰も村上作品をファンタジーと呼ばないのはなぜだろう)が多いけれど、現実世界の中の少し変わった(でも案外ありそうな)エピソードを切り取ったこの話は、まるでノンフィクションみたいな緊張感があってよろしかったです。


象の消滅
不思議な話は、短編小説の場合そのカラクリまで行き着かないで終わってしまうんですね、村上さん。そして、女の子とバーでお酒飲むってのもなんかパターンみたい気がします。ほかのどの小説で女の子とバーで飲むシーンがあったのか(あるいはなかったのか)覚えていないけれど、読んだ気がするってだけで「ああ、またか」って感じです。
結局、村上作品の短編のいくつかは、その続きを書くという形で長編小説を書くための習作のようです。気が向けば長編に仕上げるし、そうじゃなかったらそのまんまということじゃないのでしょうか。