朝日新聞17日「定義集」(大江健三郎)

沖縄戦での集団自決が「日本軍によって強制された」という記述が教科書検定で修正されたというニュースに触れたとき、修正された文章に違和感を覚えたことを思い出した。「なかには集団自決に追い込まれた人々もいた」という修正文は、読み方によっては「米軍によって沖縄県民が自決へと追い込まれた」という意味にも解釈できたし、あるいは「沖縄県民が日本軍もしくは戦争という状況の中で追い込まれた」とも読み取れそうだった。
なんかしっくりこないままほったらかしにしていたのだけど、今日の朝日新聞の「『誰が』追い込んだのかを考えてください」という大江健三郎の文章を読んで、ああ、そうか、主語がないからしっくりこなかったんだ、受動態だから曖昧だったんだと分かった。
さすが、文筆家である。言葉にすることがうまいと思った。ぼんやりした感想が言葉にしてもらったことでスッキりした。