13日NHK「SONGS」佐野元春

若い頃ヒットした曲を歳とったアーチストが歌うとき、懐かしさとともにもの悲しさを感じることがある。アレンジを変えて、よく言えば口ずさむように、悪く言えば鼻唄のように歌うさまは、その曲が発表された当時の熱さを感じることができない。
「約束の橋」はいい曲だったけれど、今現在の佐野元春が余裕しゃくしゃくで歌っても懐かしさ以上の感慨はもてなかった。「ガラスのジェネレーション」でも「アンジェリーナ」でもいいけど、その曲を発表した当時の歌には熱さがあった。歌いたい、伝えたい、叫ばずにはおられないという熱い想いが、ほとばしるように発散されていた。そういう曲を二十数年後の佐野が軽い(あるいは渋い)アレンジで歌ったとしても、それを聴く僕の血はたぎらない。

でも、番組の後半で演った「SOMEDAY」には、当時の熱さがまだ残っていた。だとすれば、歳をとったからといってオトナの歌い方に逃げず、かといって若ぶる必要もなく、直球勝負でシャウトしてほしい。だって、ミック・ジャガーはいまでもカッコイイし、サザンも山下達郎も昔の曲で食ってるわけじゃないんだから。